持株会社(ホールディングス)という言葉を聞くと、多くの方はまず「節税」を思い浮かべるかもしれません。
しかし、実務において持株会社の価値は、税務上のメリットだけではありません。
よくある質問として、「持株会社を設立すれば、大幅な節税ができるのか。」というものがあります。
結論から言えば、必ずしもそうではありません。
一定の法令・税制上の要件を満たすことを前提に、
台湾の企業併購法や産業創新条例などの制度、さらには法人間配当に対する二重課税防止制度等を活用することで、
一部の組織再編について課税の繰延べや即時課税の回避が認められる場合があります。
持株会社の本来の役割
企業が持株会社を採用する理由は、節税そのものではありません。
むしろ、企業の成長に伴って必要となるガバナンス上の課題に対応するためです。
・ファミリーガバナンス
・株式・持株管理
・事業承継
であり、グループ全体の統治よりも、オーナーシップの維持が中心となる傾向があります。
・リスクの分離
・グループガバナンス
企業統治の観点から見ると、持株会社はあくまで全体のガバナンス設計を構成する一つの要素にすぎません。
家族信託、保険、非公開会社制度、定款設計などと組み合わせることで、承継対策や株式管理、経営権の安定化などをより効果的に実現することができます。
[金融業界に見る持株会社の活用]
台湾で最も成熟した持株会社制度は、金融業界に見ることができます。
金融持株会社の傘下には、
・銀行
・保険会社
・証券会社
・投資信託会社
・リース会社
など、複数の事業会社が配置されています。
金融持株会社法では、株式交換などを通じたグループ再編の制度が整備されており、企業グループ全体の統治を支える仕組みとして機能しています。
つまり、持株会社とは節税のための制度ではなく、企業グループを効率的に管理するためのガバナンス・プラットフォームと言えるでしょう。
近年では、この考え方が金融業界だけでなく、一般企業にも徐々に広がりつつあります。
[本当に考えるべきこと]
持株会社を設立すべきかを考える際、本当に問うべきなのは、
「どれだけ節税できるか」ではありません。
むしろ、
・事業承継を見据えているか
・海外展開を予定しているか
・戦略的投資家との提携を検討しているか
・事業・資産ごとのリスク管理が必要か
・将来の事業分割や売却を視野に入れているか
といった、企業の成長段階や将来戦略です。
持株会社は目的そのものではなく、
企業の発展段階に応じて活用される企業統治のための一つの手段です。
導入の可否については、
法律・税務だけでなく、企業統治、ファミリーガバナンス、さらには経営戦略まで含めて総合的に検討することが重要です。
注: 台湾では、一定の要件を満たす法人間配当については、二重課税を防止する観点から、原則として法人所得税の課税対象外とされています。

